宏すぎ


中村宏展』を観に行きました。

最寄駅から最低でも10分かかるところにあって、ちょっと行きにくかったけれど、
そのくらいじゃないと広い敷地は確保できないのだろうな。

ゆったりとした美術館で、周りには緑もあり、週末を過ごすにはよい感じ。
クロークの係員の方も、私の非常に重たい荷物を笑顔で預かってくれて恐縮至極です。

しかし本当に広いなあ。
さすが現代美術館、一部屋が広々ととってあり、天井も高い。
天井が高いとかなり気分が違いますね。
自然光で作品を観ることが出来るのもうれしいです。
本展以外に、コレクション展とアニュアル展という独自の企画を観られました。
寝坊したことを悔やみました。
とても2時間で観られるボリュームじゃない!
半日は居たかったなあと。もったいないことした。



中村宏展』、よかったです。
作品数もかなりのものでしたし、特に彼が手掛けた本の挿絵・早稲田などの学園祭のポスターや60年代70年代の対談記事、
彼が撮影した土方巽の公演の映像など資料的な意味を持つものが多数出品されており、
中村宏』という人間を識り、それを作品を観るときに鑑賞者がフィードバックさせていくことが出来たのではないかと思います。
個人的には彼の機関車など機会への執着と、彼の作品が60年代・70年代の若者文化に与えた影響を垣間見ることが出来、非常に興味深い展覧会でした。



お次はアニュアル展。
ここからは申し訳ないのですが本当に早足で駆け抜けてしまったので、がつんと来た作家さんのことだけを書きたいと思います。
中山ダイスケさんのいくつかの立体作品は、インパクトもかたちとしての優美さもそのコンセプトもわかりやすく、
そして伝わりやすく、とても現代的な作品で、まさに現代美術でした。
しばたゆりさんの作品は、税金の無駄遣いと叩かれまくり、いつ完成するのか見当がつかない大阪の近美(現美でしたっけ?)準備室で観たことがありました。
そのときは特に印象に残らなかったのですが、今回のように作品を30点以上も陳列(彼女の作品はまさに「陳列」という言い方がふさわしいと思う)していると、彼女の作品の博物的な側面がより強調され、理科の教室のような、博物館のような他とは違う雰囲気を醸し出していました。



コレクション展は、有名な芸術家の作品をこれでもかというほど展示してあったような感覚です。
草間弥生舟越桂ナム・ジュン・パイク、中ハシ克シゲ、宮島達男…etc。
パイクや宮島の作品など立体作品は広ーい部屋でゆっくりと浸ることが出来てよかったのですが、
絵画の部屋は狭い。しかも数が多い。
ロスコやデ・クーニング、白髪一雄や田中敦子らの作品くらいはもっとゆっくり観たかったなあ。



上記とは別に、チウ・アンションという中国のアニメーション作家の作品も上映していました。
上海ビエンナーレで異彩を放っていたと聞いておりましたが、何分時間がありませんで…
10分に満たない作品すらも通して観られなかったです。
(寒々とした水墨画の平面に不思議で異様な世界が広がっていました)
チウさん、すみません。いつかリベンジさせてください。



よい美術館だと思います。楽しかったです。
でも「現代的な」美術館かといったら、それはまだ違うのではないでしょうか。
まだ「近代」の枠から抜けられていないように感じました。

いつか1日かけてリベンジします!